内容証明郵便入門,内容証明郵便の書き方から実務的法的に効果的な使い方まで解説
内容証明郵便について書き方の基礎から解説するサイトです。各種の事例について対策や留意点も解説しています。御自身で勉強され発送されても構いませんし、お近くの法律事務所に依頼されても構いません。
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内容証明・配達証明とは、共に書留に追加できる証明サービスです。
この2つのサービスにより、こちらのどういう意思がいつ到達したのかを後に証明することが出来ます。このように内容証明と配達証明は、書留郵便物に付けられる独立した2つのサービスですが、一般に「内容証明」と言えば、配達証明も付けたものを指すこともあるようです。また「内容証明郵便に配達証明を付ける」という言い回しもよく使われています。このサイトでも便宜上、内容証明・配達証明を付けた書留郵便を「内容証明郵便」と呼ぶことにします。
また、内容証明には、以下の2つのサービスを選択できます。
郵便法 (昭和二十二年十二月十二日法律第百六十五号) 収録時点での最終改正:平成一七年一一月七日法律第一二一号
- 第四十四条 (特殊取扱)
- 会社は、この節に定めるところによるほか、郵便約款の定めるところにより、書留、引受時刻証明、配達証明、内容証明及び特別送達の郵便物の特殊取扱を実施する。
- 2
- 会社は、前項の規定によるほか、郵便約款の定めるところにより、郵便物の代金引換(差出人が指定した額の金銭と引換えに名あて人に交付し、その額に相当する金額を当該差出人に支払う取扱いをいう。第五十条第一項第二号及び第二項第四号において同じ。)その他の郵便物の特殊取扱を実施することができる。
- 3
- 引受時刻証明、配達証明、内容証明及び特別送達の取扱いは、書留とする郵便物につき、これをするものとする。
- 第四十七条 (配達証明)
- 配達証明の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物を配達し、又は交付した事実を証明する。
- 第四十八条 (内容証明)
- 内容証明の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物の内容である文書の内容を証明する。
- 2
- 前項の取扱いにおいては、郵便認証司による第五十八条第一号の認証を受けるものとする。
参考:
ゆうびんホームページ (郵便事業株式会社)
e内容証明 (電子内容証明郵便サービス)
内容証明自体が絶大な法的効力を持っている訳ではありません。いついかなる文書を送ったのかということを証明出来るに過ぎません。交渉や証明の一つの手段として考えるのが妥当かもしれません。
いきなり内容証明を送りつけては穏便に解決しようとしている相手方を怒らせることにもなり解決は遠のくこともあります。場合によっては、まず通常の葉書や手紙などで抑えた表現の文書を送るのも1つの方法です。相手に誠意があるかないか確かめないうちに「本書面到達後7日以内に」とか「期限までに履行なき場合は法的措置を取ります」などとやるのは賢い方法とは言えません。
また悪徳業者の作成した書面に記載されている通りの文面では効力の発生しない可能性もあり、実際、2次被害も数多く発生しています。配達証明も忘れずに付けておくべきです (配達記録と配達証明は異なるサービスなので注意)。
内容証明は一般参考書籍も多く刊行されており作成そのものは非常に容易と言えますが、前述のようにケースバイケースで判断しなければならない要素が非常に多いので、充分な予備知識を仕入れた上で細心の注意を払って作成する必要があります。決して、安易に或いは怒りに身を任せて利用してはいけません。
内容証明は、郵便物となる文書の存在を証明するのであって、その文書の内容が真実であることを証明するのではありません。
効果として無視できないものに精神的圧力があります。受取人は、見慣れない何か特別の郵便物ですから、何か特別の効果があるのかと思うかもしれませんし、「法的手段も辞さない」という言葉には差出人の決意がこもっているようです。裁判所内の郵便局から発信されたものなどが効果を上げる場合もあります。こういった効果を期待する余り、脅迫状を作成してしまうことのないように注意しなければなりません。しかし、内容証明郵便という言葉も随分ポピュラーなものになりましたから、こういった表面的な効果だけを期待して中身がお粗末なものだと、かえって相手に余裕を持たせることにもなりかねません。正に内容で勝負です。本当に意味のあることを正しく伝える事が重要なのです。
内容証明郵便を使う典型的な事例としては以下のようなものが挙げられます。
目的としてはクーリングオフがよく知られています。いったん結んでしまった契約を無条件で解約させる訳ですから、書く内容も重要ですし、また法律でクーリングオフ出来る期間が定められているので日付も重要です。悪徳業者に普通郵便で解約の意思を伝えても、そんな郵便物なんて見たこともないと後になってシラをきられるかもしれません。そういう訳で内容証明・配達証明はぴったりの手段と言えます。
クーリングオフのページへ
債権回収の際に時効を中断させるのにも用いられます。内容証明郵便で支払を求めることは催告と呼ばれ、時効の完成を妨げる手段となります。この場合の効果は6ヶ月間で、その後時効を中断させるためには裁判上の請求手続に移行する必要があります。
債権回収のページへ
内容文書1通と謄本 (コピーやカーボン紙による複写等)2通を作成します。つまり同一内容の文書が全部で3通(差出人保管・郵便局保管・相手方送付)です。用紙の大きさや筆記用具の指定はありません (ワープロでも手書きでも構いません)。PCで原稿を作成して複数枚印刷するのが一般的でしょうか。手書きの場合は、市販の用紙(赤い罫線が入ったものを良く見かけます)を使うと便利ですが、必ず使わなければならない訳でもありません。
縦書きの場合 : 1行20字以内、1枚26行以内
横書きの場合 : 1行13字以内、1枚40行以内 又は 1行26字以内、1枚20行以内
記号は、1個を1字とします。文字は仮名、漢字及び数字のみを原則としますが、英字 (固有名詞に限ります。)及び括弧、句点その他一般に記号として使用されるものを記載することができます。
文字又は記号を訂正し、挿入し、又は削除するときは、その字数及び箇所を欄外又は末尾の余白に記載し、これに押印し、訂正又は削除に係る文字は明らかに読み得るよう字体を残すということになっていますが、相手のあるものですから出来るだけ書き直した方が良いでしょう。
謄本の枚数が2枚以上にわたるときは、契印をします。1通当たりの枚数は自由です。 (枚数が増えると追加料金が必要です。)
内容文書以外のもの、たとえば図面や返信用封筒、有価証券などは同封出来ません。
この文書と差出人・宛名人を記した封筒 (封はしないまま)と認印を持って、郵便局(郵政民営化で郵便局株式会社の事業所となりました)へ行きます。内容証明は、集配事業所及び指定された事業所で取り扱っています。要はその地域で中心的な郵便局で扱っているのですが、事前に電話などで確認すると良いでしょう。細かいことは窓口で教えてくれますが、提出すると、窓口で内容を確認し、1通は宛先に郵送、1通は差出事業所が保管(5年間)、1通は控えとして差出人に返却されます。この控えと受領証は大切に保管して下さい。証明の際必要になります。
配達証明を付加するのを忘れないようにして下さい。
配達が完了すると、その旨を記載したハガキが送られてきます (配達証明)。これも大切に保管して下さい。
オプションサービス 内容証明のQ&A (郵便事業株式会社) 記号の扱いなど詳しく解説されています。
配達証明を付加した内容証明郵便の料金は、郵便物の基本料金の他に、以下の3つの料金を加算した額となります。
一般書留の加算料金は420円 (必須)
内容証明の加算料金は420円 (2枚目以降は250円増)
配達証明の加算料金は300円 (差出後は420円)
例) 定形郵便物(25g以内)・謄本1枚・内容証明・配達証明の場合
→ 80円(定形郵便物)+420円(一般書留)+420円(内容証明)+300円(配達証明)=1220円
同文内容証明は内容証明料が2通目以降半額となります。
速達とする場合はさらに速達料金 (250gまで270円)がかかります。
宛先が間違っている等の他に、受取拒否や不在で留置期間又は留置期限が経過すると、郵便物は返還 (還付)されます ( 郵便法52条1項 、内国郵便約款95条、96条、廃止された郵便規則90条)。この場合、こちらの意思は相手に到達したとみなされるのでしょうか。
本人の受取拒否の場合、意思表示は到達したとみるのが一般的です。配達証明は必ず付けておきましょう。
受取人が不在であった場合は、下級審でケースにより判断が割れていました。最高裁で意思表示は到達したとする判決があります (最高裁H10.06.11 下に引用)。この場合は「受け取ろうと思えば受け取れたはず」という状況だったので、どうしても受け取れなかったという場合には別の判断が下る可能性があります。個別の状況が考慮されるところです。そうするとやっぱり不在の場合には、意思表示が到達したとされるのか、していないとされるのか微妙なところです。我々自身も状況に応じて判断する必要があるでしょう。
受取人が不在であることを装う場合がありますが、方法はあります。何度か内容証明郵便を送ってみてそれでも還付されるなら、相手の受取拒否の意思がより明確になります。また普通郵便等で同じ内容を送って、その旨(「本書の写しを別途普通郵便にて送付する」)を内容証明郵便に記しておくのも一つの方法です(勿論この方法も万能ではありません)。とにかく諦めずに幾つかの手段を講じてみることです。後の訴訟でも有利な立場に立てる可能性が出てきます。公示送達という方法もあります (民法98条)。裁判所への掲示及び官報への掲載等による公示によって意思表示を行い、掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなされます。
以下に参考となる判例から引用します。
判例 S36.04.20 第一小法廷・判決 昭和33 (オ)315 建物収去土地明渡請求 (第15巻4号774頁)
会社に対する催告書が使者によつて持参された時、たまたま会社事務室に代表取締役の娘が居合せ、代表取締役の机の上の印を使用して使者の持参した送達簿に捺印の上、右催告書を右机の抽斗に入れておいたという場合には、同人に右催告書を受領する権限がなく、また同人が社員に右の旨を告げなかつたとしても、催告書の到達があつたものと解すべきである。
隔地者間の意思表示に準ずべき右催告は民法九七条により浪速自動車に到達することによつてその効力を生ずべき筋合のものであり、ここに到達とは右会社の代表取締役であつたBないしは同人から受領の権限を付与されていた者によつて受領され或は了知されることを要するの謂ではなく、それらの者にとつて了知可能の状態におかれたことを意味するものと解すべく、換言すれば意思表示の書面がそれらの者のいわゆる勢力範囲 (支配圏)内におかれることを以て足るものと解すべきところ (昭和六年二月一四日、同九年一一月二六日、同一元年二月一四日、同一七年一一月二八日の各大審院判決参照)、前示原判決の確定した事実によれば、浪速自動車の事務室においてその代表取締役であつたBの娘であるCに手交され且つ同人においてAの持参した送達簿にBの机の上に在つた同人の印を押して受取り、これを右机の抽斗に入れておいたというのであるから、この事態の推移にかんがみれば、Cはたまたま右事務室に居合わせた者で、右催告書を受領する権限もなく、その内容も知らず且つ浪速自動車の社員らに何ら告げることがなかつたとしても、右催告書はBの勢力範囲に入つたもの、すなわち同人の了知可能の状態におかれたものと認めていささかも妨げなく、従つてこのような場合こそは民法九七条にいう到達があつたものと解するを相当とする。
上記判例では、意思表示の到達は、受領の権限のある者が受領した場合のみならず、それらの者のいわゆる勢力範囲 (支配圏)内におかれることを以て足るものとしている。
判例 H10.06.11 第一小法廷・判決 平成9 (オ)685 遺留分減殺、土地建物所有権確認 (第52巻4号1034頁)
遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、その内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく右内容証明郵便を受領することができたなど判示の事情の下においては、右遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。
前記一の事実関係によれば被上告人は、不在配達通知書の記載により、小川弁護士から書留郵便 (本件内容証明郵便)が送付されたことを知り (右 (二) (2)参照)、その内容が本件遺産分割に関するものではないかと推測していたというのであり、さらに、この間弁護士を訪れて遺留分減殺について説明を受けていた等の事情が存することを考慮すると、被上告人としては、本件内容証明郵便の内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができたというべきである。また、被上告人は、本件当時、長期間の不在、その他郵便物を受領し得ない客観的状況にあったものではなく、その主張するように仕事で多忙であったとしても、受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって (右 (二) (3)参照)、さしたる労力、困難を伴うことなく本件内容証明郵便を受領することができたものということができる。そうすると、本件内容証明郵便の内容である遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、被上告人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で被上告人に到達したものと認めるのが相当である。
内容証明郵便 contents-certified mail
内容証明 Contents Certificate
配達証明 Delivery certificate
書留 Registered Mail ( Certified mail と呼ばれることも多い。)
簡易書留 Simplified Registered Mail
速達 Express Mail
配達記録郵便 Delivery-certified mail
配達日指定郵便 Delivery Date specified Mail
本人限定受取郵便 Restricted Delivery Mail Service
こう訳してみると、配達証明と配達記録郵便が混同されてしまいそうです。配達証明は書留に対する付加サービス (特殊取扱) です。配達記録は郵送を確実にするためのサービスで、書留郵便物ではありません。そのため、損害賠償がありません。
参考 : Domestic Special Mail Services (http://www.post.japanpost.jp/english/service/fuka_service/) リンク切れ (キャッシュ)
平成21年3月1日(日)から実施された書留(特定記録)等特殊取扱の変更で、配達記録が廃止され、特定記録が新設されました。特定記録は、差し出しの記録のみで配達の完了(受取)を記録するものではありません。配達記録は簡易書留で代用することになるでしょうか。
書留(特定記録)等特殊取扱の変更 - 日本郵便
配達記録郵便の廃止に伴う経過措置 - 日本郵便
特定記録 - 日本郵便
内容証明郵便作成
報酬 \21,000〜 (消費税等込み。報酬額は内容によります。) ( → お見積もり・お問合せ)
電子内容証明郵便にも対応しています。
2002-12-01 このページの初出
2005-11-08 増補改訂
2005-11-12 増補改訂
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2009-09-30 増補改訂
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